今回は、たばこと歯周病の関係についておはなし、したいと思います。
喫煙者は、非喫煙者に比べ歯周病になりやすいといわれています。喫煙量、期間によって罹患率が上がるようです。喫煙者と非喫煙者に比べ3.97倍歯周病に罹患しやすいといわれて10本未満では歯周病になる罹患率が10本以上の方が5倍以上高いそうです。しかし、禁煙するとそのリスクも下がるといわれています。3.97倍の罹患率が、禁煙して2年以内で3.22倍、11年以上で1.15倍に罹患率が下がります。また、喫煙は歯周治療やインプラント治療の予後を悪くすることがわかっています。一般の成人性歯周炎と異なる喫煙関連性歯周炎といわれるものがあります。
喫煙者の歯肉を見ると固くそして厚い感じがします。しかし成人性歯周炎と違ってニコチンによる血管収縮により炎症の兆候が現れにくいため外見から歯周炎の進行に気がつかないことが多いようです。そのため重症の歯周炎になってから来院することになってしまいます。歯周ポケットの検査をすると喫煙者は同年齢の非喫煙者に比べポケットが深いです。とくに、上顎前歯や上顎臼歯の内側などでその傾向が強いといわれています。また、前歯の歯肉退縮の発生率も高いようです。
そして、喫煙者は非喫煙者にくらべ、歯石沈着が多く、進行していることがあるので定期健診が非常に大切です。喫煙者でビタミンCの摂取量が少ない方は歯周病のリスクが高くなります。たばこ煙成分に含まれる過酸化物によってビタミンCが過剰に消費され歯周ポケット内や血中のビタミンCが低下するためでもあるようです。喫煙が免疫機能、歯周病関連の細菌、歯周組織の再生、修復に影響を与えていると言われています。
喫煙関連性歯周炎の症状の特徴は、発症、進行が比較的早い。進行している割に発赤、腫れが少ない。つまり、歯の周囲の骨が溶けてしまったり、深い歯周ポケットがあってもニコチンの作用によって症状が分かりにくいということです。歯科医院での検診が必要だと思います。しかし、たばこを吸うだけで歯周病になりやすく治療しても治療結果がよくないと言われています。たばこ税が上って1箱1000円になる前に、禁煙にチャレンジしてみてはどうでしょうか?