睡眠時ブラキシズムとは寝ている時に行われる歯ぎしり、食いしばりのことをいいます!ブラキシズムには目覚める時に日中の最大咬合力を超えるほどの力をともなうものや、数分間にもわたって持続するものがあり、顎や口腔組織に破壊的に作用する可能性があります。
それでは、なにが睡眠時ブラキシズムに影響を与えるのではないかと考えられているかと言いますと⑴ストレス ⑵遺伝 ⑶嗜好品 カフェイン、タバコ、アルコール ⑷薬物 中枢神経に作用する薬⑸咬み合わせです!
しかし、これらは影響を与えると考えられるがその理由はよくわかっていないことが多くあります。
以前は、不適切な咬み合わせが、睡眠時ブラキシズムを誘発すると考えられてきましたが現在ではそのようには考えられていません更に総入れ歯の人でも睡眠時にリズミカルな咀嚼筋の活動が生じることなどから多くの研究結果からもはや咬合が睡眠時ブラキシズムを発生させると考えられていません!
しかし、歯ぎしり時の歯の接触状態が顎関節や咀嚼筋に力学的な影響を与える可能性はあると考えられてます。
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があり、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に90分~110分のサイクルで一晩に4~5回繰り返します。朝方に向かうほど深いノンレム睡眠が減少してレム睡眠の時間が長くなります。個人差があるものの新生児では1日の総睡眠時間が16時間で50パーセントだが次第に減少し成人では総睡眠時間が7~8時間で20パーセントがレム睡眠となります。また中年以降になると深いノンレム睡眠の量が少なくなり睡眠が浅くなる。
歯ぎしりを頻繁にする人では60~70パーセントの睡眠時ブラキシズムが浅いノンレム睡眠で発生するそうです。レム睡眠では10パーセント、深いノンレム睡眠では10パーセント未満しか発生していません!
睡眠周期の後半の浅いノンレム睡眠の時にブラキシズムが起こりやすく90~120分の周期で歯の接触が発生する。また睡眠時無呼吸症候群、不眠症などの睡眠関連疾患でも睡眠時ブラキシズムが起こるようです。
科学的に睡眠時ブラキシズムがどのような時に起こりやすく、多様な因子の影響を受けていることがだんだんわかってきました。
しかし、睡眠時ブラキシズムを完全に止める方法はないため、顎口腔系に作用する力分散してコントロールすることが歯科的には妥当な処置であり重要な事です。対処療法として歯の保護、歯列上に生じる咬合力と顎関節に生じる力を分散するためにスプリント療法が有効です。スプリントにはソフトスプリントとハードスプリントがあり睡眠時ブラキシズムのレベルがソフトスプリントを使用すると半数の人が高くなる傾向があると報告されています。またソフトスプリントでブラキシズムが行われると穴が空いてしまうことがよくあります。基本的にはハードタイプのスプリントを使用します。
子どもの睡眠時の歯ぎしりについて相談されることがあります。成長とともに減少していくと言われてますが、咬耗により歯痛などにより歯を保護する必要があることがあります。ソフトタイプのスプリントは欠点もありますが子どもの歯ぎしりで必要な場合には短期的には有効だと考えられます。
ブラキシズムは歯科で歯周病や虫歯の治療、セラミック、インプラント、入れ歯など様々な処置の予後に影響を及ぼす可能性があります。
睡眠時ブラキシズムは自分では気づかないで起こっていることが多く見られます。歯のすり減り方や咬み合せを診査し、スプリントを使用すると、ブラキシズムが発生しているかわかる事があります。
歯を削ったりせずに保護する事が出来るので歯にやさしい治療と考えられます。